日本映画批評家大賞実行委員会の代表であった登川直樹さんが、2010年2月に92才でこの世を去られた。いつも私たち後の世代の映画批評家たちをバックアップして、大きな力となって下さいました。日本映画批評家大賞設立の相談をしていた時、水野晴郎がまず言ったことは「登川直樹先生に代表になっていただこう」それを快く受けてくださった登川さんは、以後私たちにとっての力強い後見人となって戴きました。戦前に東京帝国大学文学部在学中から、映画批評を書いておられた私たちの大先輩である。カンヌ国際映画祭やベルリン国際映画祭の審査員もされた国際的な映画批評家であり、また1950年代末から日本大学芸術学部の講師、教授、学部長を歴任。早稲田大学大学院や、他の大学で教壇に立ち、長年に渡り研究成果を寄与され、映画教育にも大きな力をつくされた。文部省、文化庁や、芸術文化振興基金などに関与し、映画文化のために努力された功績も私たちは忘れません。日本映画批評家大賞の贈呈式のステージで、登川さんが正装して立たれ、開会のあいさつをなさるお姿は、いつまでも私たちの記憶から消えることはないであろう。